勉強会

7月の勉強会 (2025/07/08)

7月の勉強会テーマは「ヴォルフガング・ベルトラッキ~ドイツの天才贋作師 美術界をだました男~」でした。

 

ベルトラッキをご存知でしょうか。

2024年6月、アメリカのメディアによる贋作者ベルトラッキの特集によって、

日本の徳島県立近代美術館、高知県立美術館、マリー・ローランサン美術館が所蔵する絵画が

ベルトラッキの贋作ではないかとの疑惑が浮上しました。

徳島県立近代美術館と高知県立美術館は、それぞれの調査の結果、2025年3月に贋作であったと正式に表明。

(マリー・ローランサン美術館は、AI判定において72.5%贋作という結果がでましたが、正式にはっきりとは認めていません。)

 

スタッフMさんは、このベルトラッキの生い立ちから贋作を制作するにいたる過程、贋作に対する思想など、発表してくれました。

 

贋作は、人を騙して利益を得る作品。

これは、れっきとした犯罪です。

実際にベルトラッキと妻ヘレネは、ドイツ警察に逮捕されています。

 

しかしながら、美術館で30年近くもひとの目に触れ、有名作家の芸術作品として展示された作品はいったい何なのでしょうか。

 

美術鑑賞とは・・・?

作品の価値とは・・・?

創作、芸術とは・・・?

 

刑期を終えたベルトラッキは、妻とともにスイスへ移り住み、現在は自分の名前でオリジナル作品を創作し販売しているそうです。

思わぬ角度から、芸術を考えるきっかけを作ったことは確かですが、命懸けで作品を創造したアーティストにとっては許しがたいこと。

 

ベルトラッキの作品をどう捉えるか。

さまざまな視点から、多くのことを考えさせられる勉強会になりました。


2月の勉強会 (2025/02/26)

2月の勉強会は、モネ展に行ってきたTJさんによる「クロード・モネ」についてでした。

 

モネは日本人に大変人気があり、今回のモネ展も大盛況の様子。

そのモネを題材に、生い立ちから有名画家との出会い、作風の変遷まで

実に12ページに及ぶ資料をもとに勉強会が開催されました。

(資料作成に協力していたMさんもお疲れさまでした。)

 

若い時から日本贔屓だったモネは、浮世絵の平面的な描写や大胆な構図、

自然の一瞬をとらえる視点など、日本文化の影響を多大に受けています。

また、四季の移ろいを捉える繊細な感性やぼんやりとした色彩の幻想的な雰囲気は、

日本の「ぼかし」技法や「余白の美」と調和しているようです。

 

「睡蓮」 

90×108cm(額外寸)

 

「睡蓮(ジヴェルニーの日本の橋)」

50×59cm(額外寸)

 

長く愛されているモネの作品は、日本人である私たちの潜在的な美意識や感性に強く響き、

穏やかで豊かな時間を与えてくれるようです。

 

モネ展は、3月7~6月8日まで、京都市京セラ美術館にて開催されます。

TJさん曰く、同じ「睡蓮」の作品でも全く違った構図や作風がとても興味深いものだったとのこと。

モネの勉強会が終わった後に、スタッフから「京都へ旅行がてら、モネ展に行くのありかも・・・」なんて声も上がっていました。

会期が終わってから、行っておけばよかったかな・・・は、美術展あるあるですね。

 

ご興味がある方はぜひ。

京都市京セラ美術館 「モネ 睡蓮のとき」

 

ギャラリー四季のモネの作品はこちら→モネ・C


1月の勉強会 (2025/01/15)

2025年1月最初の勉強会は、Tさんによる「巨匠たちの自画像と絵画の紹介」でした。

 

どの巨匠が描いた自画像かをクイズ形式で出題され、スタッフの知識が試されました。

作品を目にすることは多くても、自画像は・・・とても難しい・・・。

 

それでも勉強会で学んできた知識を活かして、なかなかの正答率でした。

 

「イケメン!」という声が上がったドラクロワ。

 

間違えやすい

「モネ」

「マネ」

 

最高得点のMさんが唯一間違えたというのはこちら。

 

上がレンブラントで、下がルーベンスでした。

 

 

Tさんは、2024年6月ボストン美術館を訪れていて、

実際に撮影した巨匠の作品を紹介してくれました。

 

【クロード・モネの作品】

「ラ・ジャポネーズ」

「積みわら(朝の雪の効果)」

 

【オーギュスト・ルノワールの作品】

「草原で花を摘む少女たち」

「日傘をさした女性と子ども」

 

【フィンセント・ファン・ゴッホ】

「ルーラン婦人ゆりかごを揺らす女」

「オーヴェルの家々」

 

額の豪華さに目を奪われます。

大きさや色彩を含めて、作品が放つ存在感を肌で感じられる貴重な機会。

なんとも羨ましい体験です。

 

以上、1月の勉強会でした!


11月の勉強会 (2024/11/15)

11月の勉強会は「日本の伝統的な文様7選」でした。

 

日本の和柄には、豊かな文化や伝統、そして信仰から生まれた柄にはさまざまな思いが込められており、

現代のデザインやファッション、アートにも影響を与え、国内外で愛されています。

 

浮世絵の中に描かれている着物の柄や、何気なく目にしている柄に込められた思いを学びました。

「青海波(せいがいは)文」「七宝(しっぽう)文」「矢絣(やがすり)文」「市松(いちまつ)文」等・・・

柄には、豊かな自然を表現したものや災難厄除、子孫繫栄のご利益を願ったものなど様々な思いが込められています。

 

文様ひとつひとつに込められた思いを意識して浮世絵や日本画を鑑賞するのも楽しみ方のひとつです。


9月の勉強会 (2024/10/09)

9月の勉強会は「蔦屋重三郎~江戸のメディア王と呼ばれた男~」についてでした。

 

蔦屋重三郎は江戸時代中期に「版元(出版社)」として「浮世絵」の黄金期を築いた人物。

その蔦屋重三郎の生い立ちから喜多川歌麿との出会い、浮世絵で成功を収めるまでを学びました。

 

江戸時代の日本を映し出す浮世絵は、海外からのお客様のお出迎えにおすすめのアートです。

 

浮世絵の作品はこちら

 

★作品を探す>キーワード【浮世絵】で検索いただけます。

 


7月の勉強会 (2024/07/31)

7月勉強会のテーマは「データでみるギャラリー四季」でした。

こちらのテーマを選んだのは経理担当のKさん。

スタッフが今までに見たことのないデータやランキングもあり、目から鱗でした。

 

業種別割合のグラフはHPに掲載しましたので、ご紹介いたします。

病院・介護施設様が約半分を占めております。

 

様々な業種で絵画やアート作品を幅広くご活用いただいております。

所有せずに価値を共有できるのはレンタルならでは。

まずは、お気軽にお問い合わせくださいませ。

★メールでのお問い合わせはこちら

☆お電話でのお問い合わせは TEL:044-871-0223

  受付時間9:00~17:00(月~金※祝祭日除く)


6月の勉強会 (2024/06/28)

6月の勉強会のテーマは

「いろいろな構図《空間》」について、Sさんが発表してくれました。

 

15世紀イタリアのルネサンス期に確立された「線遠近法」のなかでも

消失点を1つもつ「一点透視法」は、レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」が有名です。

Z-4 「最後の晩餐」

一点透視法は、真正面からみている構図です。

キリストの右のこめかみに設定された消失点。

実際にキリストのこめかみからは制作に使ったと思われる釘痕が残っています。

 

二点透視法は、ゴッホの作品で使われています。

TT-5 「オーヴェールの教会」

縦の線はすべて地平線に対して垂直で、真正面から真横に少し回転した構図。

手前に飛び出して見えるのが特徴です。

 

三点透視法は、俯瞰(上から見た図)や煽り(下から見た図)の構図です。

絵画では、あまり使われないようですが、ゴッホの作品は三点透視法の効果も使われているようです。

 

ほかにも、大気がもつ性質を利用した「空気遠近法」があります。

遠景に向かうほどに対象物は青みがかったり、白みがかったり見え、

遠隔線が不明瞭になり、対象物が霞んで見えます。

これを利用したのがレオナルドダヴィンチの「モナリザ」です。

UU-15 「モナリザ」

色彩上の工夫により、空気遠近法という技法が確立されることになりました。

 

そのほかにも、色彩遠近法、消失遠近法、曲線遠近法、上下遠近法、重畳遠近法、斜投象法など、

様々な遠近表現があり、絵画はいくつかを組み合わせてできています。

ただし、科学的な技法に頼ってばかりいるのではなく、バランスが考えられているのが名画と言われるもので、

ドイツの心理学者であり、視覚的芸術における知覚構造を分析したルドルフ・アルンハイムの言葉に集約されています。

 

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世の中でバランスが取れている状態というのは部分的、

もしくは一瞬しかなく、世界はつねに有為転変している。

そして芸術というのは、そういう中で、バランスが取れた、

一瞬の理想的な空間を絵の中に組織化しようとする試み。

絵は単にバランスを取ることが目的なのではなく、その方法は無限にあり、

どうバランスを取っているかという点に意味が込められている。」

                   ルドルフ・アルンハイム

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絵画を鑑賞する際には、ぜひどのような空間を表現しているのか、構図にも着目してみてください。


5月の勉強会 (2024/05/31)

5月のテーマは、現代アート「鉄錆師 YASUKA.Mの世界」でした。

メディアで取り上げられていたことをきっかけに

錆で表現するアートをスタッフに紹介してみました。

『眩』

『永遠(とわ)の春』

※画像はHPよりお借りしました。

 

YASUKA.Mさんは鉄の地肌と錆の濃淡のみで幻想的な世界観の作品を創っています。

空気に触れると生きているかのように変化していく錆を扱うのは至難の業であることは想像に難くありません。

それでいて抽象的な表現ではなく、蝶やトンボのような昆虫や桜や針葉樹といった細やかな具象画であるので

具体的な制作方法を公開していない点は至極納得。

循環する命をテーマに創作していますが、鉄こそがいずれは自然に還るもの。

永遠ではないからこそ「今」に最大の価値を見出すことができます。

 

ギャラリー四季ではお取り扱いはございませんが、新しい分野のアートを学んでみました。

 

ちなみに、、、

錆アートではありませんが、ギャラリー四季には銅板レリーフがございます。

 

D-1450

 

D-1451

 

D-1452

 

現在ほぼレンタル中となっております。

ご希望の方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。

 

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  受付時間9:00~17:00(月~金※祝祭日除く)

 


3月の勉強会 (2024/03/29)

3月の勉強会を担当したのはTさんです。

テーマは「ジョルジュ・スーラ」についてでした。

 

新印象派運動の創設者であるスーラは、分割主義や点描主義という革新的な絵画方法を使い評価されました。

合理的で数学的なものへの情熱によって、印象派のもつ情景を再現するものではなく

構図・色彩・光などの緻密な計算で絵画を作り上げました。

 

色彩は光であるということから、点描法を使って描くことで、

離れてみると目の網膜上で混色され、絵具を混ぜ合わせることより明るく見えることができるのです。

 

PD-2605

 

論理的、科学的に整然と配置され、影や周囲の色に影響を受けた部分を可能な限り精彩に分析して色を点描した、

スーラの透明感あふれる作品をどうぞお楽しみください。

 


2月の勉強会 (2024/02/29)

毎月1回スタッフが持ち回りでテーマを決めて発表している勉強会。

今回はMさんによる≪美術史解説 セザンヌの林檎から振り返る絵画の空間表現≫でした。

 

キュビズムの走りともなる独自の空間表現を模索し、ピカソにも影響を及ぼした「近代絵画の父」ポール・セザンヌ。

これまでの流れを大きく変えたのは、数百年前から続いたレオナルド・ダ・ヴィンチが作り上げた「一点透視法からの逸脱」でした。

人間の視点に着目し、人間の目に映る(認識する)物体を正確に平面に再現する「多点透視法」。

セザンヌの絵画は、描いてる視点が違うのにも関わらず、描画をうまく繋げて歪んだ絵にならないよう再構築されています。

これまでにない新しい世界の捉え方をしたセザンヌの空間表現をお楽しみください。

 

V-2