勉強会

8月の勉強会 (2023/08/09)

8月の勉強会はSさんによる「現代アートを分かりたい!-引き算の美学-」がテーマでした。

 

現代アートとは・・・?

英語では「contemporary art」と訳されます。

19世紀以前の教会や裕福なパトロンに支えられて制作された作品ではなく、

作家自身の個人的な経験や視点で制作され、社会問題や社会情勢を反映し問題提起や批判を感じることができるアートを言います。

思想やコンセプトといった”目に見えないもの”をテーマに制作されるようになりました。

Sさんがピックアップしたアーティストを紹介してくれました。

 

◆マルセル・デュシャン(1887-1968年 フランス)

1917年、レディメイド(既製品)の男性用小便器に「R.Mutt1917」というサインが入った「泉」という作品が話題となりました。

「便器」と「泉」という本来は結びつかない二つを一つに結びつけること、便器を「泉」と呼ぶことで言葉では見えてこない世界が見えてきます。

また、デュシャンは「便器など芸術だと認められない」といったスキャンダルを狙った確信犯とも言われています。

このようにして実用上の意味が消えるように置かれたオブジェには新しい概念を創り出しました。

新しい思考の提起や挑戦的なメッセージが込められた現代アートです。

 

◆ワシリー・カンディンスキー(1866-1944年 ロシア)

抽象絵画の最も偉大な創始者の一人と言われているカンディンスキー。

写実的な表現が主流だった頃にモネの「積みわら」に出会い、印象派の表現に衝撃を受けたカンディンスキー。

ある時、横倒しに置かれた自分が描いた絵をみて、描かれていた具体的な形が崩壊し、構図と色彩のバランスだけの画面に衝撃を受け、

そこに美や、新しい可能性を見出したのです。

固定観念にとらわれず、自分の目でみた発見から継続し制作し続け、カンディンスキーの抽象絵画が生まれました。

 

◆ピエト・モンドリアン(1872-1944年 オランダ)

シンプルな線、形、色彩を用いた幾何学的抽象絵画を描き、のちに現代アートやデザイン、ファッションに絶大な影響を与えたモンドリアン。

水平線や垂直線を多用し、原色と無彩色を組み合わせた色彩を用いることであらゆる抽象表現を幾何学的に実現しようとした

「新造形主義」という美術理論を提唱。

赤・青・黄を使用し、黒い線で区切ったコンポジションのシリーズは有名です。

 

正解があるものではなく、いろいろな見方があってよいのが現代アート。

作者が何を伝えたいのだろうかと思いを巡らせることで対話をすることが大切だそうです。

難しい、わからないとされる現代アートを面白いと感じるための勉強会になりました。