- ホーム
- ギャラリー四季ブログ
- 勉強会
- 11月の勉強会

勉強会
11月の勉強会 (2022/11/29)
11月の勉強会テーマは経理担当Kさんによる「芸術と医療福祉」でした。
※ギャラリー四季では、毎月スタッフが持ち回りでテーマを決めて勉強会を行っています。
世界規模でアート×ヘルスをテーマとしたイベントが美術館で行われているようです。
2018年カナダでは、モントリオール美術館×フランコフォニー医師会による、
世界で初めて患者の治療の一環として美術館訪問を「処方」し、患者と家族など同伴者が無料で美術館に入館可能となりました。
また、2019年には台湾の国立台湾博物館と台北市立連合病院による「博物館処方箋」を、認知症の方とその介護者を対象に実施されました。
日本においても、薬を処方する処方箋のかわりに、美術館・博物館など地域にある資源を通して「社会参加を促す」処方箋を出して課題に対応する
「社会的処方」を厚生労働省が推進する方針となっています。
医療福祉現場でもアート活動は広がっており、女子美術大学芸術学部 山野雅之教授のプロデュースによって
大学病院の検査機器がテーマパークのアトラクションのように表現されており、不安や緊張を和らげる効果が期待されています。
医療現場でアートを持続可能にするためには・・・
事例の多くは新築・建て替え、改装のときがほとんどだそうです。
その理由のひとつに、日常の病院の予算の中ではアートに回す費用を考える余裕がないとのことでした。
また、具体的な効果についての認識が十分浸透していないために支援体制が不十分だということがあげられます。
少しずつ海外では、医療におけるアート効果についての研究が進んでおり、医学的データが示されるなどヘルスケアにおけるアートへの理解が浸透しています。
* * * * * * * * * * * * * * *
チャルマース工科大学(スウェーデン)のRoger S Ulrich博士
1984年Scienceに発表「術後の回復に窓からの景色が与える影響」
胆嚢摘出手術後、【窓から木が見える病室】は【窓から人工的な壁しか見えない病室】より平均入院期間が短く、看護師さんへの苦情件数が少ない、弱い鎮痛剤が投与される。
* * * * * * * * * * * * * * *
今後はより、アートによる心のケアが治療と同じように必要だというエビデンスを得ることが重要になってきます。
また、医療教育において、アートの役割の理解を深めるための普及活動も必要となってきます。
Kさんの勉強会は、フローレンス・ナイチンゲールの言葉(1860年)によって締めくくられました。
『患者の目にうつるものが持っている形の変化や色の楽しさ それはまさに患者に回復をもたらす現実的な手段』
アートを医療現場にお届けしているスタッフにとって、興味深い勉強会になりました。
2022年11月29日 9:59 AM | カテゴリー: ギャラリー四季ブログ, 勉強会